骨の髄まで私に尽くせ。第3話ネタバレ

骨の髄まで私に尽くせ。

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著者:長堀かおる

第3話:白い肌、潤んだ瞳、火照り顔・・・引き返せるわけない、よね?

「あの時の事、本当にごめん。謝りたかったんだ」

 

未知のど真ん中で土下座する藤田。
夜とはいえ、繁華街で人通りも多くその光景は目立ちまくります。

 

土下座をされている女性・仲村さやかもさすがに驚いているようです。
「あ・・・えっと」
周囲から好奇の視線にさらされ戸惑うさやか。
とりあえず事態を収拾することを優先したのか
「藤田君、やめてこんなところで・・・」
「顔あげて・・・」

 

戸惑い気味に声をかけてくるさやかですが、その困ったような表情も可愛いです。
さやかは藤田にどけ座をやめさせると、とりあえず人通りの少ないビルの影へ・・・
非常階段のようなとこに連れ込んで藤田を落ち着かせます。

 

「・・・仲村さんがいて驚いたよ」
ようやく落ち着いてきた藤田。
とりあえずいきなり土下座してきた時のような取り乱しもなく、さやかとキチンと会話できているようです。
「職場がこの周辺なの?」

 

なんとなく探りを入れてみる藤田。
「今日は用事があってたまたま来たの」
「あんなことがあって・・・もう二度と会えないかと思ってた」
藤田の言うあんなこととは「骨の髄まで私に尽くせ。」第2話のいじめの事です。

 

「いろいろあったよね・・・」
「あの後私が転校したの覚えてる?」

ぽつぽつと身の上話を語りはじめるさやか。
それによると、転校先でもうまくいかず通信制の学校を卒業してフリーターをしているようです。
そして今は、都内に一人暮らしをしているようです。

 

「俺は・・・普通に高校に行って大学入って・・・就職してすぐに結婚して、来年2人目が産まれる・・・」
ごくごく普通の事なのですが、さやかと比べてしまうと自分のあるんで来た道の平坦さを思い知らされてしまいます。
さやかはそんなことを気にした風でもなく
「順調だね。おめでとう」
とささやかですが祝ってくれます。

 

「いや・・・ごめん、俺なんかが・・・」
藤田の言及したことは、自らの人生の否定ではなく、さやかの人生を壊してしまった事。
もしあの時、藤田がかばわなければ、さやかはあんな目にはあわなかったはず・・・
そのことが藤田の悔恨であり、10年以上ずっと引きずってきたことだったのです。

 

「なんで謝るの?おめでたいことじゃない」
藤田の言っていることをわざと理解していない風に装うさやか。
「私だって今大事な人がいるし、幸せなんだよ?」

 

にっこりと笑うさやか。
学生時代の回想では貧弱な子と言う感じでしたが、10年もたつとものすごい美人です。
(昔と変わったな・・・明るくなった)
「そうなんだ・・・よかった」

藤田は敢えてさやかの間違いを指摘しません。
むしろ、その間違いによってさやかから「幸せ」と言う言葉が引き出せたことを感謝しているようです。

 

ようやく緊張も解けてきた藤田。
緊張が解けてくると周囲の事にも目が行くようになってきます。
藤田とさやかがいる場所はビルとビルの間、その非常階段。
夜も遅いので、おそらく人が入ってくることはないでしょう。

 

そして、横に座っているさやかを見ると、ミニスカートから伸びた真っ白な足が・・・
10年前のあの時を思い出し、視線をそらせてしまう藤田。
潮時か・・・

 

「駅まで送っていくよ」
さやかに謝るという目的を果たした以上、一緒にいてる理由はありません。
少なくとも理性はそう言っています。

 

その言葉に従い別れようとした刹那、さやかは藤田の手を握りしめます。
「私も・・・あの頃本当は・・・藤田君のこと・・・」
さやかの言葉はそこまででしたが、この後に続く言葉はすぐに想像がつきます。
それは、藤田と同じ感情。

 

しかし、家庭を持つ藤田にとってその感情はあまり褒められたものではありません。
「ごめん・・・忘れて」
心中が表情に出てしまったのか、さやかはすぐに手を放します。
しかし藤田はその手を取り直し、さやかを抱き寄せてしまいます。

 

「忘れられるわけないだろ」
「・・・嬉しい」

 

ビルの間の暗がりで抱き合う二人。
ここから骨の髄まで私に尽くせ。の物語は一気に加速していきそうです。

 

 

骨の髄まで私に尽くせ。第3話感想

序盤のヤマ場ともいえる骨の髄まで私に尽くせ。の第3話です。
偶然の再開から土下座という、なかなか拝めない大技を繰り出した藤田。
しかし、藤田とさやかの過去を考えれば、ジャンピング土下座くらいでは足りないでしょう。

 

土下座された側のさやかは藤田を責めるわけでもなく、昔のことをぽつぽつと語ってくれます。
ちょっとしか語ってくれていませんが、それが辛かったことは想像に難くありません。
対して平凡かつ幸せな道を歩んできた藤田。
実はここで藤田は葛藤がさらに深くなったと言っても過言ではないと思います。

 

そして、極めつけはさやかの「幸せだよ」発言です。
もしかしたら、骨の髄まで私に尽くせ。の重大な伏線のような気がしますが、その発言の真意はまだわかりませんね。
ただ、骨の髄まで私に尽くせのタイトルから察するに、さやかは確信犯っぽいですね。
つまり、この時点で藤田を引きずり込む意思があったと見てもいいのではないでしょうか。

 

骨の髄まで私に尽くせ。第4話ではどうなってしまうのでしょうか。

 

骨の髄まで私に尽くせ。

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